ホールガーメント®技術を活用し、研究・教育・産業連携におけるイノベーションを推進
シドニー工科大学Advanced Fabrication Research Lab
シドニー工科大学(University of Technology Sydney:UTS)のAdvanced Fabrication Research Lab(AFRL)は、3Dニットやロボット技術、積層造形(3Dプリンティング)などの先進的なデジタル製造技術を活用し、研究・教育・産業連携を推進する研究施設です。ファッションやテキスタイル分野に加え、建築、プロダクトデザイン、エンジニアリング、ヘルスケア、サステナビリティなど幅広い領域において、最先端の設備と専門技術スタッフの知見を活かしています。
先進的なニット技術の活用に向けて環境を整備
AFRLでは、研究・教育・産業連携を進めていく中で、高度なニット技術への需要拡大を感じ、新たな研究開発環境の整備を進めていました。しかし、AFRLには無縫製ニットや複雑なニット組織を開発・試作するための設備がなかったため、SHIMA SEIKIのホールガーメント®横編機SWG®-XRとデザインシステムSDS®-ONE APEX4を導入。これにより、デザインから試作までを一貫しておこなえる環境が整い、複雑な立体構造を持つ3Dニット製品の研究開発が可能になりました。現在もSWG®-XRは日常的に活用されており、AFRLの研究・教育活動を支える重要な役割を担っています。
選定の決め手となった技術力とサポート体制
AFRLがSHIMA SEIKIを選んだ理由として、先進的なホールガーメント®技術をはじめ、SWG®-XRとSDS®-ONE APEX4の高い連携性や業界で培われた実績と信頼性があげられます。また、オーストラリアの代理店であるRamsay McDonald Australiaによる手厚いサポート体制も導入を後押ししました。導入後は、SHIMA SEIKI本社での講習に加え、人材育成やスキルアップをサポートするeラーニングシステムSHIMANAVI®を活用。研究者や技術スタッフは効率的に知識やスキルを習得し、新たな技術を研究や教育活動に活かしています。
研究から産業連携へ広がるホールガーメント®の可能性
AFRLでは、SHIMA SEIKI製品を導入したことが研究者や学生が新たな研究テーマを生み出すきっかけとなり、企業との共同プロジェクトの拡大につながっています。研究の中で、構造が複雑なデザインや自由度の高いデザインが求められる場面では、ホールガーメント®技術により完全無縫製のニットを生産できることから、SWG®-XRならではの立体的な構造のニットを裁断や縫製の工程なしで試作することが可能になりました。
ホールガーメント®技術は、ファッション分野にとどまらないテキスタイル活用の研究とも親和性が高く、2024年には、UTS建築学部のDavid Pigram准教授とAFRLチームによるソフトウェア開発プロジェクトがUTS Research Translation Competitionにて優勝しました。このプロジェクトにより開発されたソフトウェア「Knit3D」は、3D設計データをホールガーメント®横編機で生産可能なニットデータへ変換するミドルウェアです。これにより、複雑な3D形状のニットが編成可能となり、建築分野をはじめとするさまざまな領域への応用拡大に貢献しました。例えば、家具や照明分野とのコラボレーション、生分解性素材を用いた建築プロジェクト、リサイクル糸を活用したサステナブルな製品開発、舞台衣装制作など、多岐にわたってSWG®-XRのホールガーメント®技術が活用されています。
以下は、AFRLがこれまでSWG®-XRを用いて実現してきたニットプロジェクトの例です。
| Billo Armchair(3Dニットカバー・3Dニット照明システム) | Adam Goodrum Studioとの共同プロジェクト。地域で調達したウール糸を用いたニット製造を通じて、持続可能で先進的なモノづくりを追求し、環境負荷の低減と地産地消型の生産体制の推進に貢献。 | |||
| Impermanences Tractatus(2025 ヴェネチア・ビエンナーレ建築展) | フランスの建築事務所 New Territories / S/he-F.Roche との協働プロジェクト。生分解性素材と先進的なニット構造を活用し、一時的なシェルターをテーマにした建築表現に挑戦。 | |||
| Knit3D | 2024年のUTS Research Translation Competitionで優勝したプロジェクト。3D設計データとSDS®-ONE APEX4の編成データを連携させるソフトウェア「Knit3D」により、デザインの自由度向上と廃棄物削減を実現し、ホールガーメント®ニット技術における新たなデザイン開発や研究の可能性を拡大。 | |||
| Lace as Sound | Dr. Cecilia Heffer氏による研究プロジェクト。Powerhouse Museum所蔵のアンティークレースから着想を得て、新たなニット表現や空間表現を探求。 | |||
| OCEANA Collection, Alberta Stournaras | UTSファッション&テキスタイル専攻の学生であるAlberta Stournaras氏が、自身のホールガーメント®ニットコレクション「OCEANA Collection」をAustralian Fashion Week 2026にて発表。企画から生産までのニットウェア開発プロセスを実践し、ホールガーメント®技術を活用した創造的なニットデザインの可能性を提案。 | |||
| Noema | バイオ由来の新素材糸を開発する企業との共同研究。独自素材とホールガーメント®技術を組み合わせた製品開発を検証。 | |||
| High Tea with Mrs Woo | オーストラリアのスローファッションブランドとの共同研究。端材由来の再生糸を活用し、循環型のモノづくりの実現に向けた研究開発を推進。 | |||
| BRIGHTNESS by Kristina Chan, INDance 2025, Sydney Dance Company | 振付家Kristina Chan氏、衣装デザイナーのDr Donna Sgro氏(UTS)、CREATE NSW、およびSydney Dance Companyとの共同制作プロジェクト。ダンサー向けのニット衣装の開発を通じて、身体表現と衣装デザインが一体となる新たなパフォーマンス表現の可能性を追求。 | |||
先進的なニット技術の発展を見据えて
AFRLでは今後、スマートテキスタイルやウェアラブル技術の研究をさらに発展させるとともに、産業界との共同研究や学生教育の強化を進めていく予定です。さらに横編機の増設も計画しており、ニットの設計・開発を学べる教育環境を大学全体へ広げていく構想を描いています。オーストラリアにおける先進的なニット技術の研究・教育拠点として、AFRLの挑戦はこれからも続きます。
シドニー工科大学
| 創立 | 1988年 |
| 所在地 | オーストラリア、シドニー |
| 内容 | 大学 |
| URL |
University of Technology Sydney
Faculty of Design and Society Advanced Fabrication Research Lab |
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