2008年02月28日 プレス
「宇宙船内用日常服にホールガーメント(無縫製ニット)採用」のお知らせ
このたび、宇宙船内用日常服にホールガーメント(無縫製ニット)が採用されました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、"宇宙への参加を容易にする仕組み"を実現する施策として「宇宙オープンラボ制度」を2004年6月から実施しています。その共同研究テーマのひとつとして「近未来宇宙暮らしユニット」(リーダー:多屋淑子/日本女子大大学院・家政学部被服学科教授)が開発した宇宙船内用日常服が、2008年春に予定されている、国際宇宙ステーション「きぼう」打ち上げミッションに搭載され、土井飛行士が軌道上で試着、着心地などを確認することになりました。
弊社は、世界で初めて開発したホールガーメント(無縫製ニット)横編機による革新的技術によってこのユニットに参加し、船内服に関する共同研究を進めてきました。宇宙空間では、微小重力の影響により、体内水分の移動に伴う体型変化や、姿勢変化(背中が少し丸くなる)が起こります。こうした環境変化に対応可能なシルエットと運動性、低負荷性を兼ね備えた衣服の開発が求められてきました。
また、宇宙空間においてはシャワーなどで水を使うことは制限されていますが、筋力維持のため器具を使った運動などは必要とされ、汗をかく行為は避けられません。そのため、日常を健康で快適に過ごすには、着用する衣服にも対応が求められます。今回の軌道上試着によって得られるデータ及びノウハウは、厳しい宇宙環境に対応するだけでなく、ホールガーメントの特性である人にやさしいニットウエアのさらなる質的向上に資するものと確信します。ホールガーメント技術の特長
- 軽く仕上がる(縫い代が不要な分、全重量の5%程度を軽減)
- モビリティ(縫い代による突っ張り感や肌への刺激がなく、着心地が良く動きやすい)が従来の衣服よりも優れている。
- 縫い代がないので編地本来の伸縮性を保持しており、宇宙での体液の移動による体型変化によく追従する。
- 縫い代がないので糸くずが発生しない。
宇宙での着用に応じた工夫
- 宇宙での中立姿勢を考慮したシルエット。
- 運動着には、背中、脇下に、編み組織によるメッシュ構造を設け、発汗時の蒸発を促す。(配色を行っているが、切り替えによる縫い代はない。)
- くつ下は、保温性能を持たせるように足裏部分を厚くするなどの工夫を施しています。
- 抗菌・防臭・吸水など、アイテムの使用目的に応じて加工を実施。