SHIMA SEIKI 島精機製作所

ニュースリリース

2016年07月29日 プレス

『全自動横編機』が「戦後日本のイノベーション100選」に選定

このたび、当社の『全自動横編機』が、公益社団法人発明協会が創立110周年記念事業として実施した「戦後日本のイノベーション100選」に選定されました。「戦後日本のイノベーション100選」は、戦後の日本の産業発展に大きく寄与したイノベーションを選定したものです。当社の『全自動横編機』は安定成長期から現在に至るまでのイノベーションの一つとして選ばれました。


【概要】

創業以来、「Ever Onward(限りなき前進)」を経営理念に掲げる当社は、1960年代初頭の手袋編機の全自動化の開発に始まり、1978 年にはニット製品全般に及ぶコンピュータ制御式自動横編機の開発をなしとげ、この分野のデジタル革命をいち早く実現しました。その進化は更に続き1995 年には完全無縫製型横編機(以下、ホールガーメント横編機)の開発にまで至っています。当社の製品は常に時代の変化、要請に機敏に対応するものであり、コンピュータ制御式自動横編機は、ニット産業をして大量生産型経済成長から安定成長下の多品種少量生産型への切り替えを可能としました。さらに1995 年のホールガーメント横編機は、情報化時代の到来によって生じたデザインインの必要性やグローバル化時代の繊維産業が抱えた産業空洞化等の課題に挑戦した繊維機械の画期的なイノベーションとなりました。


【イノベーションに至る経緯】

1964 年に全自動手袋編機(角型)の開発に成功した後、より付加価値の高い横編機の市場に参入します。高度経済成長期では日本の洋装化が本格的になり、衣料品の工業化が進むにつれ横編機の需要は拡大していきます。

1973 年の第一次石油危機の影響を受けた翌1974 年、当社の売上が低迷します。時代も高度経済成長期から安定成長期へ移行します。単一大量生産方式でモノが売れた時代から、個性化・多様化の時代がくると予見し、多品種少量生産を可能とするコンピュータ横編機という新しいコンセプトの実現に挑戦します。均一性のある部品を加工できるNC工作機を導入し、プログラミング開発のできる電子技術分野を強化し、1978 年にはシマトロニックジャカードコンピュータ制御横編機(SNC)を開発しました。これまでニットの柄組のために手作業で行っていた針の入替や、熟練技術が要求される編み目を調整する作業が、コンピュータ制御に置き換わり、多品種少量生産が可能となりました。

これと同時に編機とニット等のデザインの直結を考え、コンピュータ・グラフィックスの分野にも参入しています。編み物は基本的に、ニット、タック、ミスの3 要素で構成されており、これを色の3 原色と組み合わせた色情報をプログラミング言語とします。そして、編み目それぞれをドットとして認識させ、1 ピクセル単位で編み針を制御するツールとして、1981 年、シマトロニック・デザイン・システム「SDS-1000」の開発に成功します。

安定成長期から1990年代に入るとバブルの崩壊とともに日本経済は長期の低迷に直面し、繊維産業はローコストを求め海外へ進出するようになります。日本でのモノづくりを絶やさないために、付加価値の高いファッショナブルな衣料品を安価で作れる繊維機械の開発が大きな課題となりました。コンピュータ横編機では、流し編みで型通りに裁断し縫製する方式から、縫製工程は残りますが、型通りに編み上げる成型編み、前立て、衿、ポケットづけ、ボタンホールなどを合わせて編み上げるインテグラル・ニットへ移行します。

1995 年には縫製工程をなくしたホールガーメント横編機をイタリアミラノで開催された国際繊維機械見本市(ITMA 展)で発表し、"東洋のマジック"と賞賛されました。このホールガーメントを支える技術は、1985 年に開発した±1%の精度で均一な製品を生産する、デジタルステッチコントロールシステム(DSCS)装置が重要な要素となりました。

1997 年には新たな針「スライドニードル」を開発しました。スライドニードルの利点として、高品質かつ綺麗な編地を編成することが可能となったこと、編成テクニックを12 種類に増加させることで、従来の36 通りから144 通りまで拡大できました。このスライドニードルを搭載した4枚ベッドのホールガーメント横編機の発表により、商品はセーターの領域から立体的なニットドレスの分野まで広がりました。

オールインワンのコンセプトのもとデザインシステム「SDS-ONE」を2000 年に発表します。商品企画、デザイン、サンプリング、マーチャンダイジングや販売促進に至るまでの機能をワンセットで提供します。2007 年にはホールガーメントの立体表現を可能にしたデザインシステム「SDS-ONE APEX」を開発します。また大幅に生産性を向上させたホールガーメント横編機「MACH2X」を開発し、デザインシステムと融合させたニット製品の高度生産方式が認められ、「大河内記念生産特賞」を受賞しました。

2015 年には可動型シンカー搭載の4 枚ベッドのホールガーメント横編機「MACH2XS」と、高精細な3D バーチャルシミュレーションを高速で実現できるデザインシステム「SDS-ONE APEX3」を発売しました。ホールガーメント20 周年となる第17 回ITMA 展(ミラノ)において、「トータルファッションシステム」の一貫した技術提供をアピールし、高い評価を受けました。


【問い合わせ先】

株式会社島精機製作所 総務人事部 藤田、今井
TEL:073-474-8208

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